江青日誌

夢は野山を駆け巡る

2018年の夏の思い出その1『ゲッベルスと私』の映画を見、本を読んだ

ちょっと前になりますが、映画『ゲッベルスと私』を観ました(2018/7/15 @岩波ホール)

そして、その後、本を買い読みました。この本は、ぜひ、沢山の人に読んでほしいと思いましたので、恥を忍んで言葉足らずなブログを書きます!

ナチス政権の宣伝担当大臣秘書だった、ポムゼムさんが、103歳時に行った30時間のインタビューを編集したドキュメンタリー
強く刻まれた顔シワだけが、彼女の歳を告げているのではと思うほど、記憶、声、語り口は鮮明で、約2時間、固唾をのんで見た

ドイツに20代、30代、40代で行っても、本を読んでも、ドキュメンタリーを見ても、なぜ、ドイツにナチス政権が誕生したのか、なぜ、なぜあんな残忍なことが起こったのか、理解できなかったけど、昨日の彼女の語りで、やっと腑に落ちかけている
遠藤周作の『沈黙』を読んだ後のような面持ちだ

初めてドイツに行った時、ミュンヘンのそばのダハウの強制収容所に行った。駅を降りて、とても感じのいい住宅街だった。迷っていたら、おばさんが「ダハウはあっちよ」とまるで、なんでもないように教えてくれた。中で見たことを書くのは今でも苦しい。収容所をでて、子どもが直ぐ側に住んで居ることを知った。ドイツの人たちが、あの場を残して、当時の記録を展示し続けていることに、怖さを感じた。日常の中の非日常が隣にあるわけで。その日の食事は、食べていても味を感じなかったことを覚えている。

彼女が「ドイツ人全員がナチス政権を誕生させてしまったことが罪だ。」と語っていた。40代で行ったドイツは、第2次世界大戦を忘れないための、モニュメントやイベントがたくさん仕掛けてあった。ドイツは、今も、自分たちが生んでしまった時代がまた来ないように、眼を開けて、見続けているのだ
また、彼女の親友がユダヤ人だったことも、彼女を認めてくれて雇ってくれた人がユダヤ人だったことも、結婚しようとした人がユダヤ人だったことも、彼との子どもを身ごもったのに、流産したことも知った。なんというか、そういう人が、宣伝省の大臣であったゲッベルスの秘書の一人だったわけで。

どうやってベルリン降伏が行われたのかという史実もこの本を読んで初めてわかった
私があの時代を生きていたら、政府側だったか、レジダンス側だったか、たまに想いにふけっていたが、もう、そんなことはどうでもいい。考えないことにする。あんなことがおきないように、ささやかだけど自分の身の回りでできることをすることだけ、今は考えようと思う。

強制収容所の映像は、今まで見たものの中でも、限りなく悲惨だった。途中から、見るに耐えず目を伏せた。
帰ってきてから、バッハのマタイ受難曲を聴きながら眠りについた。

ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白

ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白