江青日誌

夢は野山を駆け巡る

「100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著 君のために選んだ1冊」であとがきに書いたこと

100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著 君のために選んだ1冊
今年の2月にデブサミ10年を記念して作った本の「あとがき」を担当させていただいておりました。blogに公開してもいいという編集長のお言葉があったのですが、自分の分をアップしないでいたので、ここらでアップしたいと思います。
なお、この本は、机や本棚の片隅に置かれて、ちょっと気が向いた時、デバックで時間が開いた時など、パラパラ見てもらって「ふむふむ」とか「にまー」とか「これ読んでみよう」と思ってもらえたらという思いで作りました。著者100人の方々の人生や開発に関する思いがにじみ出ている本なので、良かったらぜひ買って下さい(笑。なお、姉妹本として、MarkeZine編集部から「デジタルマーケターが読むべき100冊+α」が今月発売されましたので、こちらもどうぞよろしくお願いします!

■薦めたい人
勉強会やカンファレンスに参加したことがない、Blogなど書いていないデベロッパーさんへ贈りたい1冊

編集部から弊社主催の開発者向けカンファレンス、Developers Summit(以下デブサミ)の10周年を記念し関連の書籍を出しませんか?と打診が来たのが2011年の初夏。いつも終わると、6ヶ月ぐらいエンヤコラで作っていたデブサミの気配が消えてしまい、儚いものだなあと思っておりました。スピーカーのみなさんの思いや、熱量や、知恵を、もっともっと、たくさんの人に伝えられたらいいのにと、ずっと思っていました。平日開催だから出席できない、東京開催しか無いから聞けない方がたくさんいて、そんな方々にどうしたら届けられるのだろうかと思いつつ、弊社から本を出すのは、リソース的に難しいだろうと諦めていましたので、声をかけてもらったときは、本当に嬉しかったです。デブサミの歴代スピーカー800人を超える中からと、弊社の開発者向けWebマガジンCodeZineの著者の中から依頼をさせて頂きできたのがこの本です。
少し、昔話をさせてください。私は、コンピュータの教育を受けたこともなければ、プログラミングをしたこともありません。プログラミング関連の担当になるきっかけは、今から約20年前、PCカルチャー誌の雑誌の創刊スタッフとして翔泳社に入って1ヶ月後、老舗のプログラミング雑誌Dr.Dobb’s Journal日本版(以下DDJJ)の広告営業を担当していた先輩が退社することになり、私にお鉢が回ってきたからでした。恥ずかしながらその時まで、プログラミング言語というものがあることも、C言語があることも知らなかったぐらい、まったく予備知識がありませんでした。
先輩の話から、DDJJlは、当時の先端のプログラミング雑誌であることを知りました。営業に行くと、私がこの雑誌の広告営業をするというよりも、出てきた担当者の方から「DDJJはこういうものを取り上げなければならない!」と記事の提案を受けることが多かったように思います。熱い思いを持っている方が多いのだなと思うと同時に、言われていることの内容がわからず目を白黒させる日々でした。
雑誌の内容を推測するに、Niftyプログラマーフォーラムのオブジェクト指向会議室で議論されていることに近いように思いました。その住人の方々に読者になって欲しいと思い、掲示板で交わされている議論を理解しようと必死に読み、彼らと近しくなりたくて、オフ会を何回か企画しました。そんなことをやっているうちに、自分なりに雑誌の方向性が見えてきたような気がしました。
何が言いたいかというと、以来ずっと私は、デベロッパーが今どんなことに関心があるか、ネットや勉強会やオフ会で交わされている事柄を聞き、わからないことは教えてもらいながら、デベロッパーの皆さんが、今後必要になるであろうことを伝えることを仕事にしてきました。もちろん、ネットや雑誌の記事や書籍を読み勉強することもありますが、それよりも何よりも、先端的なエンジニアの人たちが、発する言葉の中から、ニーズを拾い、イベントのプログラムを考えたり、サイトの企画を考えたりしてきたように思います。そういった意味では、この本に登場する方々や読者の方々は、みな私のお師匠さんかお師匠さん予備軍ということになります!
不思議なことに、情報を発信する力のあるデベロッパーの方は、自分のお持ちの知識やコネクションを晒すことを厭わない方が多いように感じています。 もちろん、本当の企業秘密を話すことはないでしょうけれども、ある意味コンペ同士でも、同じテーマの元、勉強会に参加し、発表をしたりされたりするカルチャーは、他の業界ではあまりないのではないでしょうか? 始め、どうしてこんなに皆さん親切に教えてくださるのか戸惑いました。未だにどんぴしゃな答えを持っていないのですが、推察するに、この業界全体の底力をあげるために、知恵のシェアをしていこうという思いを持たれている方がたくさんいて、そして、ありがたい事に、私はそういう方に会う確率がとても高かったし、その方々に育てていただいたとのだな思います。
今回の100人の著者の方々がこの本で取り上げている内容は、ご覧のとおりバラエティに飛んでいます。開発スタイル、心得の本、コンピュータの仕組みを学ぶ本、ビジネスモデルの本、人間力とは何か教えてくれる本、海外で働くときに役に立つ本、一歩上行くデベロッパーになるための指南本、コンピュータ業界の歴史を学ぶ本、採用・自分戦略の本などなど、書いてくださった方の思い満載、ジャンル豊富な本に仕上がりました。これもまた、ご自身の知恵をシェアしようとする、この業界が持つ「素敵DNA」を著者の皆さんがこの場で発揮してくださったからだと思います。この場を借りて、著者の皆さんに御礼を申し上げます。
願わくば、買ってくださった方の開発する机の片隅に置かれ、ふとした時にページを捲っていただけるようなあなたの仕事の伴走者になれたら、また、この業界に入る方にプレゼントしていただけるような本になれたらと思いながら。そして、是非、この本を書いてくださった先達のように、業界DNAを継いで、ライティングや講演活動やソーシャルコーディングなどであなたも、業界の中で得た知見をシェアをする旅に参加してくださったら、こんなうれしいことはありません。
読んでいただきありがとうございました。Bon Voyage!(よい旅を!)

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