江青日誌

夢は野山を駆け巡る

出版業界の重力との戦い


出版事業部に異動になって3年が終わろうとしています。人口減少、娯楽の多様化などなど言い古された言葉だけれど、出版業界自体は、1996年をピークに右型下がりが続いています。もちろん、個別に見れば、児童書が好調だったり、火花みたいな超メガヒットが出た年もあったり、実は、会社を成長させている書店チェーンもあります。とはいえ、大きなトレンドとして、右型下がりなわけで、ざっくり言うと、業界全体が5%で毎年下がっているとして、昨対2%を達成しようとすれば、7%の成長をしなければならないという塩梅です。

昨年、コンピュータ販売研究機構の会長になってから、この業界を右肩上がりにしようとしている、つまりは重力との戦いに果敢にチャレンジしている方々をお招きし、CPU Salonという勉強会を開催しています。1回目は、2016年の7月に、日販の富樫さんと能勢さんに来ていただき「日販はこれからどんな本屋を作ろうとしているのか?」というタイトルで、新規出店の現状を話していただきました。2回目は、3/16に、丸善ジュンク堂の工藤社長と、honto.jpやhontoポイントの運営会社である2Dfactの加藤社長をお招きし、DNPグループの試みについてお聞き、我々出版社の書店営業チームがどんな貢献ができるか考える会を実施しました。

どちらの会もオフレコでお話をしていただいていたため、詳細は差し控えますが、今回に関して言えばお話を聞いて、丸善書店ジュンク堂書店の会社として合併してから文化の融合が進んでいること、そして、丸善ジュンク堂とhonto.jpとの共同戦線が広がっている様を事例を元にお話いただきました。大規模チェーンが取次傘下に入っている中で、独自書店としてこれからも事業を継続していくために、品揃えを確保するために自社倉庫を運営し(SRC)、380万人のhonto会員を元にマーケティングを展開し成果を出し、独自のポスレジシステムを作り、などなど、これからも日本で書店業をやっていくための大連合を模索するためのちゃくちゃくと武器を揃えていること、実際に戸田書店など他社とも契約を結び運営をされていることを、業界紙で見聞きはしていますが、実際にお二人の口から聞くと、覚悟の程が伝わり背筋が伸びる思いがしました。特に、日本の書店業界を語る、工藤社長の心からの声は、その日眠れないぐらい心が震えました。

同じ業界内の重力との戦いでも、ロールが違えば見ているものが変わるわけで、富樫さんも能勢さんも工藤社長も加藤社長も、赤裸々に、厳しいGの中、未来を見据えて手を打っている話をしてくださって、感謝の言葉しかありません。

次の日、名古屋で仕事終わりで、神楽坂かもめブックスの柳下さんと日販名古屋の古賀さんとお酒を飲みました。柳下さんは、今をときめく、書店業界の新星(笑。一度お話してみたいと思っておりました。同じ新宿区に会社があり、弊社とも取引があるというのに、古賀女子の引き合わせにより、初対面が名古屋w。初めてあったとは思えないぐらいに、出版業界の重力との戦いについて一大ブレスト!もしかして、この3人で本を出せたらいいねなんていう夢を語って解散!

やっぱり私は、出版業界のモデル変革を企てている人の話を聞きながら、自分も重力に逆らい続けたい。4年生になっても、ブラウン運動を続けたいと思います。