江青日誌

夢は野山を駆け巡る

父の遺言は「震災と戦災は語り継がなければならない」そんなわけで 『かまいしの昭和20年ー艦砲射撃を生き延びて』を8/9復刊します!

 

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「戦災と震災は語り継がねばなんねんだ」

私は、東京で中堅出版社に勤めています。

伝える力を持っている人に「本を書きませんか?」とお声がけするのが仕事です。手前味噌になりますが、父は、三陸のこと、釜石のこと、海のこと、魚のこと、などなど、とても博識で、父に話を聞くために、人が訪ねてくるような人でした。

父にも言葉をつなぐ力があると確信し、生前、父に「亡くなった後、お父さんを思い出す意味でも、何か本を書いてほしい」と頼んだところ、出来てきたのが『かまいしの昭和20年-艦砲射撃を生き延びて』でした。父から戦争体験を聞いたおぼえがなかったため、このテーマを選んだことにとても驚きました。岩手県ユネスコ協会連盟から本テーマの発表の機会を頂いたことで、戦争体験者として語り継ぐ大切さ、平和への思いを強くしたのが、きっかけとなったようで、「戦災と震災は語り継がねばなんねんだ」と、晩年口すっぱく言っていたそうです。

 

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釜石市は1944年7月14日、米海軍による本土初の艦砲射撃に見舞われました。東北地方有数の軍需工場である釜石製鉄所を沿岸部に擁していたことと、1回目の艦砲射撃後、1ヶ月で釜石製鐵所が再稼働したことを受けて、長崎に原爆が投下された8月9日に再び、米英軍による艦砲射撃に見舞われました。特に、2回目は、小佐野、小川地区まで(製鉄所の社宅があったところまで)大きな被害にあいました

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戦後70年に当たる2015年に初版が出た時、あっという間に、父の手元から在庫が無くなったことを、昨日のことのように覚えています。寄贈が主の出版だったため、父のもとに在庫のお問い合わせをたくさんいただきました。

やっと、70年前の状況を受け入れることができるタイミングだったということでしょうか?主に、父の世代の読者の方は「懐かしい」という感想を、私の世代からは「この本のおかげで釜石の艦砲射撃のことを知った」という感想をいただきました。あまりにも早く、在庫が無くなってしまったため、父は、興味のある方に、購入頂く形で増刷したいと話すようになりました。

 今回、執筆者、資料提供者の皆さまに増刷の同意をいただき、釜石市内中学校に三年間三年生へ(合計約670名)へ、寄贈させていただくことと、桑畑書店様、大森書店様、さわや書店様、自費出版専門サイトBOOTHで販売させていただけることになり、やっと、父の願いを叶えることができたとホッとしています。関わってくださった方全員に、感謝いたします。

最後に、戦争を知らない世代の私は、この本を読んで、釜石が昭和初期「東北の上海」と、言われるほど賑わっていたこと、釜石が日本で唯一、艦砲射撃を2回受けた理由、被害状況、戦後の復興のありさまを、理解できました。

世界を見渡すと、残念ながら紛争のニュースが、流れない日はありません。

戦争で実際にどうなるのか?わが町を題材に学び、もう2度と戦争を起こさない決意を改めて心に刻むために、ぜひ、お手にとって見ていただけると、父も本望だと思います。どうぞよろしくお願いします。

 

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■書誌情報

・発行日:2015/07/30(初版)

・著者:岩切 潤

・価格:1188円税込(内訳:書籍990円/送料198円)

■お取り扱い書店(2021年8月6日現在)

釜石市

・桑畑書店(大町)

・及新書店 サンパルク店(上中島町)  

・大森書房(上中島町

・さわや書店 イオンタウン釜石店

・さわや書店 釜石店(ジョイス釜石店内)

盛岡市

・さわや書店 本店(大通)

・さわや書店 フェザン店 (盛岡駅ビル内)

オンライン

BOOTH  https://iwakiri.booth.pm/items/3144412