江青日誌

夢は野山を駆け巡る

『旅人 ある物理学者の回想』

旅人―湯川秀樹自伝 (角川文庫)

旅人―湯川秀樹自伝 (角川文庫)

今週の小川洋子のラジオの課題図書は、日本初のノーベル賞物理学賞受賞者の湯川秀樹の自伝。50歳を迎えたことをきっかけに執筆した、誕生から学問の世界に閉じている彼が、結婚を機に、精神的に開かれ、そして、中間子理論の構想を発表するまでの物語です。よくまあ、これだけ詳細に自分の小さな時の事を思えていることにまず驚き、そして、文章の上手さに驚きました。もっとも、幼少のみぎりから、漢文に親しみ、書籍を延々と読んでいたとのことなので、文才は元々あったのでしょう。また、語られる京都の町の風景風景、雰囲気の時代の差異を楽しく読みました。蒼いさなぎの青年から大人の男性に変わっていくロマンチックなお話でした。
明日のラジオの放送で、小川洋子が何を語ってくれるのか、とても楽しみです!