江青日誌

夢は野山を駆け巡る

コーチング体験記

初めてコーチングを受けたのは、確か今年の3/30。その日は、局の総会がありました。出版局の社員全員を前に、2004年度の総括と2005年度の事業計画について話した日でした。
私は当時、いろいろな問題を抱えていました。家庭の事、実家の事、仕事の事。多分、コーチは、家庭のことが議題になると思っていたと思います。でも、私自身は、10月に内示があった今回のポストに対して、不安で一杯で、一人になると当時、意味なく涙が出てくるぐらい、やり切れる自信がありませんでした。きっと、コーチを受けたのは、「大丈夫、あなたなら出来るよ」と、ただただ根拠なく慰めて欲しかったんだと思います。コーチング自体を誤解していたんですね。
発表をして益々落ち込んで、コーチを受けました。きっと最悪の精神状態だったと思います。受けてみて、何をやってもきっと駄目に違いないと絶望しているということが分かりました。いろんなカードを出されても、何度もやってみたけど駄目だったという結論を下し、自分の立てた塀の中でやりくりをしている自分がいました。そして、じっくりその事実と向き合ってみると、これ以上自分自身が絶望しないため、セーブしてオペレーションをやっているということが分かりました。そんなオペレーションだと、一緒に働いている人は、堪ったものじゃないだろうなと思いました。会社は私のものではない(そんなに偉くもないし)。私の欲望の範囲で、物事をオペレーションしている結果がこれなんだと、その時思いました。
そうなったらしめたもので、自分が次何をしなければならないのか、タスクが見えてきました。意気揚々と、5月にコーチに結果報告をしたら、別の問題を彼は私の心の中から引っ張り出してきました。家族のことです。実は、今回でコーチを受けるのをやめるつもりでいました。自分なりの当面の殻は破れた気がしたので、後は私自身の精進だと思っていました。ところが、なんというか、聞き上手ってこういうことを言うんですね、めったに人に言うつもりもなく、私の中で心の一番奥に、何十にも鍵をかけていた問題を、彼は引っ張り出してきました。
両親は、全くそんなつもりはなかったようですが、私は、毎回実家に帰る度に、ひどく傷ついていました。来年40歳になるのに、彼らからすると、子どもは子ども。私の心の一番触れて欲しくないところに、ずけずけと、私の考えとは真逆な意見を言ってきます。私を思ってくれてこそなのだと思うのですが、途中から聞くに堪えなくなり、私は一切の連絡を絶ちました。自分で言うのもなんですが、親に逆らったことは、これが産まれて始めてぐらい、私は大筋親の言うとおりに生きてきました。やっと、逆らったことで、大人になったような気分がしたと同時に、後ろめたさを抱えていました。
特に、着物のことを思うたび、母のことを思い出しました。母は私に着物の楽しさを教えた人です。母と呉服屋に行けたらどんなにいいだろう、こんなときは、母は何を選ぶんだろうかと、いつも着物と母をセットで思い出していました。2回目のコーチングを受けたとき、コーチは私に「お母さんと呉服屋に行きたいんでしょ?」と言いました。それは私の本心でした。でも、そのときは、私自身、傷つくのが怖くて怖くで、電話をする気にもなれませんでした。
今回、四谷琉球のあんまーに励まされて、釜石に帰ったのですが、私は買った着物を持って行きました。高い着物は一つもないけれど、自分のお金で始めて買った着物を、母にどうしても見てほしかったから。でも、その一方で否定されたらどうしようかとそれまた不安でした。母は、私の着物の趣味が母の母、つまり祖母に似ていると言いました。そう言われると、私は、ぼんやりと誰かの着物姿の人を思い出して、着物を買ったり、着付けたりしていました。その人は、母ではありませんでした。祖母だったことに言われるまで、全く気がついてませんでした。祖母は、真夏のとっても暑い日以外は、1年中着物を着ていました。病気がちで、あまり接点のなかった祖母の血を、自分の中に久しぶりに感じました。母からは、自身が着なくなってオークションに出そうとしていた木綿やウール着物を貰いました。普段着着物大好き人間にとっては、何よりのプレゼントでした。両方が本当にうれしかったです。
そんなわけで、コーチには言葉に出来ないぐらいすごく感謝しています。自分だけではどうしようもない問題に向き合うきっかけを与えてもらいました。私の日記もこまめに見てくださっていて、日々見ててくれる人がいるというのはありがたいといつも思っています。良く分からないけれど、友人でも上司でも家族でもない立場で、ものを言ってくれる人が私には必要でした。そして、そんなにご本人をよく存じ上げないのですが、id:J_Matsumotoさんじゃなかったら、きっと、コーチをお願いしなかったと思います。
というわけで、お勧めですよ、id:J_Matsumotoさん。いまだに、コーチングはなんだか胡散臭いなあと思わないではないんですが、彼はさわやかにささやかに、本心と熱意で攻めてくる人です。お礼の意味をこめて、コーチングの仕事が彼に来るように、微力ながらblogでカミングアウトした次第です。ありがとうございました!>まつもとさん。