江青日誌

夢は野山を駆け巡る

とてか04に参加して #toteka


とちぎテスト会議04(通称:とてか)の恐れ多くも招待講演に選んでいただき『会社をHackしていたら出版業界をHackしていたでござるの巻』と題して発表させていただきました。
エンジニアでもない私の話が、聞いてくださった皆さんにお役に立てる話だったかどうかは、よくわかりません。書籍販売の部署に移動してから私の杖だったのは、デブサミやHack For Japanでエンジニアの方々から教えてもらった、大きな課題が出てきた時に我々はどういう態度で対峙すればいいのか?ということを、感謝の気持ちを込めて伝えたくお話させていただきました。(本当はあの場に立つこと自体、震える思いでしたが)生いところを除いた公開版をこちらにおいておきます!
私の話を置いておいて、とてかはとても気持ちのいい場所でした!そもそも、とてかは、デブサミにおいてのTDDの炎上をきっかけに始まった伝説の地。そのエピソードと新緑の那須それだけでもぐっときますが、とてかスタッフの皆さんの暖かさ、バランスの良さが気持よく、参加している方々が醸しだす場の雰囲気もよく、自然と人間の両方に癒やされました。
普段依頼する側の人間なので、依頼される立場の人間が何を考えるのか、それに対するとてかの方々のケアも勉強になったなー。まあ、こんなことがなかったら、きっと深いところまでお話をすることがなかった人達に今回は出会うことが出来ました。
発表も面白かった!椎葉さんのチームの話は哲学的かつ実践的でもっかい聞きたいです!みわさんのテストする側が何をかんがえているのか、米澤さんのコードの作戦の話(コードにも作戦があるのかって思いつつ聞きました)、やっとむさんの話は、椎葉さんの話の続きみたいで面白かった(予定調和的な何かに思えたけどきっとちがうんでしょう笑)、こういちさんは永和の伝統芸っぽいプレゼンで元気が出ました笑。@Kazu_cocoaさんの話は、生々しくてこういうプレゼンもありかと勉強になりました。パネルディスカッションはパネラーの皆さんの日頃の鍛錬が見え隠れしたはなしっぷりが面白かったです。でも何よりも、@track8の「かえりみち」にやられました。生でお届けできないのがとても残念です。個人的には、とてか04全ての話を上書き保存されたような破壊力でした。
とてか04、ほんとうに楽しかった!とてかのスタッフの皆さんに本当に有難うございましたと伝えたいです。誘っていただかなければきっと一生行かなかったでしょう。次回は参加者として是非参加したいと思います!
(スライドが小さく貼れなくて恥ずかしい)

コンピュータ出版販売研究機構(CPU)の会長に就任することになりました

今でも夢なんじゃないかと思ったりするんですが、マイナビ出版の滝口社長に推挙いただき、4/1からCPUの会長に就任しました。CPUの活動をご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、CPUの設立の経緯を引用させていただきます

コンピュータ出版販売研究機構」は、 1989年11月設立の「コンピュータ出版販売研究会」がスタートとなります。コンピュータ書販売のインフラ作りと販売効率の向上をめざす出版社が集まり 結成されました。
設立当初、書店店頭にはコンピュータ書というジャンルはなく、主に「電子情報」の棚にまとめて置かれていました。急激なパーソナルコンピュータの普 及に合わせて、コンピュータ書の新刊発行点数も圧倒的に増加するという状況の中で、早急に書店店頭でのコンピュータ書の整備の必要に迫られました。
会が真っ先に取り組んだのが、棚分類コードの確立でした。混乱した棚の整理と、誰でもきちんとジャンル別に商品を配列ができるように、関連出版社に 働きかけて、分類コードを理解し採用してもらい、売上スリップに表示することを徹底し、かなりの社にご協力いただきました。(現在約8割の出版社で採用さ れ、業界のスタンダードになっています)全国の書店様また取次社様には、主要都市で説明会を開き、趣旨を理解し有効利用していただけるよう働きかけをしま した。

このような先達の活動のお陰で、書店店頭にコンピュータ書の棚を確立することができました。今読んでも、ありがた過ぎてぐっときます!
コンピュータ書の売上規模やラインナップを見れば、インプレスさんや技術評論社さんから会長をご担当されるのが順当だと思います。それでも長年会長を努めていらっしゃった滝口さんからのご指名とあれば、お断りできるはずもありません。
実は、私、学級委員長とか生徒会長とか、長のつくものってやったことがなく、今回がはじめてなんです(ガクガクブルブル)そして、リアルであった方はよくご存知だと思いますが、口が悪く、出版業界に移動してきて日が浅く、そんな自分自身がこんな役職につくなんてとそれこそ、かなり迷いました。それでも、お引き受けした理由は、先行き不透明な出版業界の中で、情報を得るのも1社より利害を同じくする会社でまとまっていたほうが得やすいことをCPUから教えてもらっていたこと、書店様や取次様より、CPUの活動の成果物である「棚分類コード」「増倍マニュアル」を高く評価してくださっていること、そして何より一番自分がやってみたいこととして、書店営業人材育成を自社だけではなくCPUの枠組みを使って実現したいという思いがありました。
そんなわけで、微力ではありますが、2年間限定でやってみようと思っております!就任したといっても、4-6月は今までの引き継ぎなどあり、実際にCPUの活動で新しくリリースできるのは7月ぐらいからになりそうではありますが、始めたことでどんなことが起きるのか、起こらないのか、今からとても楽しみです。また、CPU活動に対するご提案などあれば、ぜひぜひお聞きしたいのでご連絡をお待ちしてます!どうぞよろしくお願いします!

希望の火を絶やさずに

3/25に、紀伊國屋書店の藤本仁史常務(62歳)がお亡くなりになりました。風の便りだと数日前から入院されていたそうだ。2月末に、取次さんへ同行させていただいた時は、お元気そうでぴんぴんしていらっしゃったのに。でも、年末にお邪魔した時には、土日もなく働いていてとてもお疲れのご様子だったので、出版業界内の改革の中で、お体に無理が溜まっていたのかもしれない。
週末は、嘘であって欲しいと、とにかく誤報であることを祈った。でも、本当であることを友人から告げられ、土日はため息と涙で暮らした。
藤本さんに初めてお目にかかったのは、忘れもしない2015/6/26。アマゾンの時限再販が始まった日。「各社どういう意向で参画したのか、ヒアリングさせてほしい」というお電話を頂戴し、目黒の本社にお邪魔したことから。我々の説明をじっとお聞きになっている目が印象的だった。
その後、7/1の紀伊國屋書店の高井社長によるPMIJの出版流通の改革の講演会、7/23のJPOのドイツ出版業界視察ツアー報告会、7/31に開催された出版社向けのPMIJの説明会、と立て続けにお目にかかる機会を得、藤本さんを通じて紀伊國屋書店さんが、また、PMIJさんが、日本の出版業界の変革をどのように進めていきたいのか、お話を聞くことに。アマゾンの時限再販も業界変革の大きな波の一つですが、PMIJさんがやろうとしている改革は、抜本的でかつ今の出版業界のペインをきちんと分析したうえでの骨太なプランでした。私自身も、ドイツ出版業界視察から帰ってきたばかりだったこともあり、高井社長と藤本さんの紀伊國屋書店ツートップから出てくる改革のお話を、ワクワクしながら拝聴していました。また、早々にぶち上げるだけではなく行動を起こし、ある意味社会現象化させるようなところまで持って行っているところに「さすが紀伊國屋書店!」と感動を持って拝見していました。
一方で、藤本さんから部下の方々をご紹介いただき、紀伊國屋書店さん中のいろいろな部署の方にお話をお聞きする機会を得ました。そのたびに紀伊國屋書店さん人材の厚さと、持っているインフラの強さを強く感じ、企業としての強さはこういうところからでてくるのだろうなと、お打ち合わせが楽しみでしかたありませんでした。
紀伊國屋書店さんは、社内の改革は見えてきたからこそ、出版業界改革への着手だったのだと推察しています。その大航海に出た矢先の訃報。藤本さんには、もっともっと、出版業界を変えていっていただきたかった。私も出版社の末端の人間として教えていただきたいこと、見せていただきたい世界がたくさんありました。私にとっては、希望そのものだったので、もう、シオシオでヘロヘロな気持ちです。
紀伊國屋書店さんも、今後の人事など大変だと思いますが、どうか藤本さんの意思を継いで、改革の流れが途切れないことを切に願います。
昨日のあられは、きっと藤本さんがふらせたものだと思っています。あのあられのお陰で、少し藤本さんの死を受け入れる気持ちになりました。短い時間ではありましたが、藤本さんからいろいろなことを学ばせていただきました。お礼を直接言えることが叶わなくなってしまいましたが、本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

VSUG DAY - THE FINALを終えて


2005年11月に活動を開始したVSUG。こちらの運営事務局を設立段階から携わってきましたが、事前のアナウンス通り、2016年3月5日のVSUG DAY-THE FINALをもって活動停止となりました。
最後のイベントになったVSUG DAY-THE FINALは、手前味噌にはなりますが、すごい良いイベントになったように思います。発起人の北川さん、基調講演の井上章さんはじめスピーカーや受講者の人達が、どんなにVisual Studioが好きか、どんなふうにソフトウェア開発に向き合っているのか、想いのたけをVSUG DAY-THE FINALに届けてくださったように思いました。
当初、開催を計画していたスケジュールよりも大分遅らせての開催になってしまい、特に会場提供を頂いたマイクロソフトさんには多大なご迷惑をかけてしまったのですが、その分、コンテンツが熟成し、かつ、タイミングを同じくして榊原さんがMSのCTOのタイトルで登壇いただけることになったりと、このトラップは神様に仕込まれていたのかとも思うほどです。
私個人で言うと、翔泳社に入る前の会社からマイクロソフトさんの担当をやっていて(1993年)、翔泳社に入ってもマイクロソフトさんの担当をつい最近までやっていました。Visual Basic Magazineの広告主の方からの要請で設立されたActiveXベンダ会、マイクロソフトさんからのお声がけで始まった、PASSJVSUGは、設立から事務局として、inetajはVSUGの中の人として設立にかかわらせていただきました。そんなわけで、これで全てのマイクロソフトテクノロジーコミュニティ事務局業務から卒業することになります。途中途切れたりはしつつも、足掛け20数年やってまして、個人的にはプチ定年を迎えた気持ちで、正直ちょっと寂しいです苦笑。
VSUG DAY-THE FINALで発表された、スピーカーの方々の言葉を借りれば「加齢臭いっぱいな」昔話の数々は、いつもコミュニティの方々の発する言葉から「門前の小僧習わぬ経を読む」的に技術のトレンドを勉強させてもらっていた身としてはとても懐かしかった。また、Webの黎明期のコミュニティサイトの立ち上げと運用、イベント、掲示板、規約、収支報告、何よりも関わって下さる方々の思いの調整などなど、コミュニティを運営する上で必要なことを、スポンサーや、コミュニティの皆さんに教わりながら必死に雪かきしていたことをまざまざと思い出しました。人生で初めてやった仕事の多くは、コミュニティの運営から発生していて、会社の中には当時この辺のノウハウがなく、20代後半から30代の私にとっての一番の上司はコミュニティの方々だったと言ってもいいかもしれません。ちゃんとやれたか、今でも思い出すと胸の痛いこともあります。
それでも、VSUGの運営委員の方々と事務局は、大きな揉め事もなく、キャンディーズの解散武道館ライブのようにこの日をむかえることが出来、本当に清々しいことでした。また、当日の運営やっていても、手が足りないところにみんなが自然に動ける人達ばかりで、とても楽しい時間でした。スピーカーや着てくださった方々とも、久しぶりにあっても「ようよう」「やあやあ」でいけるのも楽しい。そうそう、VSUG DAYは大阪での1回を除き全て出ているのですが、最初から最後まで公演を聞いたのは今回が初めてで、それぞれの方々が、今技術をどう見ているのか話をまとめて聞けるのも嬉しい時間でした。
そんなVSUG DAY-THE FINALの場を見ていたかのように、最後のマイクロソフトの伊藤かつらさんから「ぜひVSUGは同窓会やってくださいw」とのビデオメッセージ。VSUGは、Facebookページのみ残し、それ以外は徐々にクローズドしていくことになりそう。同窓会イベントなどを3年後ぐらいに気が向いたらやるかもと、中の人が言ってましたので、VSUGFacebookページに是非「イイネ!」をお願いします!
終わるのに「イイネ!」の話で終わるところがなんとも妙ですが、このまま去るのもお名残惜しいので、ゆるーくむりなく気が向いた時に会えるといいなと個人的にも思ってます。
写真は朝一控室にいたメンバーのみを撮影した運営委員の写真。運営委員の奥津さん、福井さん、杉下さん、新村さん、ちゃむ、沼口さん、原水さん、関くん、フォーラムリーダーの皆さん、スタッフの皆さん、そして、事務局を一番長く担当してくれた伊藤さん、お疲れ様でした!

VSUG Facebook Page
VSUG DAY-THE FINALイベントページ
VSUG DAY -THE FINAL-&「VSUG新聞」(自主制作版)を大野さんが作ってくださいました!

ITエンジニア本大賞に投票してほしい理由!(2016.1.12迄)


ITエンジニア本大賞」と題したアワードを、2014年から開催してます。
優秀なITエンジニアであればあるほど沢山本を読んでいるなとデブサミのスピーカーを見て感じてました。優秀になりたい人であればあるほど。その話を社内の人にしたところ、どうしてもコンピュータ書はマイナーなので、もっともっと本や書いた人や作った人を盛り立てるために、また、ITエンジニアの感度が素晴らしいことを世の中にわかってもらうために、ITエンジニアがいいと思った勧めたい本を投票していただき、盛り立てていけないかと提案を受けた事がきっかけで、このアワードは始まりました。
特に、技術本だと、本業の傍らプライベートの時間を削って、役に立ちたい!世の中を変えたい!という思いのもと、書かれている著者や翻訳者の方は多いのではないかと思います。そんな苦行を経てできた本で支払われる原稿料だけでは、残念ながら暮らしてはいけないわけで。ITエンジニアがお世話になった本に、投票という形で恩送りをし、著者にもっと有名になってもらったり、いい本を広めたりするための装置にITエンジニア本大賞がなれればいいなと思いました。つまり、「名誉」という形で「恩送り」をしたいのです。また、本屋さんが減っている中で、ビジネス書・コンピュータ書を置いてくださっている書店さんと協業して大賞後フェアを実施することで、書店さんへの営業支援的役割も会社を超えて担いたい思っています。
夢は大きく!せっかくなので、ITエンジニア本大賞は、ITエンジニアにとっての直木賞芥川賞ぐらいになれれば、書店さんや著者さんに恩送りになるでしょうか笑。千里の道も一歩からですね。
2016/1/12が投票の締切です。皆様の清き投票をお待ちしてます!

ITエンジニア本大賞
https://www.shoeisha.co.jp/campaign/award/

XP祭り20015で 『「品切れは何故おこるのか?」 科学的に理解したい! 奮闘記』と題した発表しました

2015/9/12に早稲田大学理工学部にて開催された、XP祭り2015に今年も枠を頂戴し話をする機会を頂きました。エンジニアでもない私が場をいただけるのは本当にありがたいことです。
デブサミの頭を張ることから卒業し、出版販売へ社内移動して1年半。準備段階から考えると約2年、その間、私はずっと、デブサミを通じて門前の小僧習わぬ経を読むならぬ、スピーカーの皆さんから耳かじってきたアジャイル開発的考え方を思考のリズムにしてきました。そんなわけで、前回の「組織パターン」で未来をあぶり出す!の派生プロジェクトとして延々と対策している「品切れは何故おこるのか?」 科学的に理解したい! 奮闘記を今回お話させて頂いた次第です。
大規模品切れが起こった時に「品切れって戦地に物資を滞り無く送り続けないとおこるんですよねw」と言われてはっとしました。そうか!店頭はある意味戦地で、そこに切らさず、かつ効率的に送り続けなければならないのだと。というわけで、それから仲間とともに出版物流を研究した記録を今回まとめました。出版業界が長い方には当たり前な話かもしれませんし、ITエンジニアの方には興味を持っていただけるのかわからないのですが、デブサミを通じてIT業界にご縁を頂いた方々に、ちょっと遅い残暑見舞いのつもりで認めてみました!当日は、わざわざこのセッションを選ばれた方々が真剣に聞いてくださって、思いがけないフィードバックを頂いたりして嬉しくなってしまって、本当は公開するつもりはなかったのですが、なまいところをカットして公開することにいたいました。フィードバックを切にお待ちしてます!
今年になって、取次第4位の栗田出版販売民事再生申請、アマゾンの時限再販トライアル、紀伊國屋書店村上春樹の新刊配本、などなど、今までの出版業界のモデルに対するゆさぶりがおこっているように感じてます。この地殻変動のリズムもアジャイルのリズムに加えてしまって、サーフィンしていきたいと思っています。
最後になりましたが、発表の機会をくださった、id:kawaguti さん、発表資料が出来なくて煮詰まっている時に手を差し伸べ、ゼロからイチにする作業をコーチングしてくださった id:hageyahhoo (伊藤さん)、騎郎さん、見守ってくださったXP祭りのスタッフの皆さん(旦那様も含む)、会社の仲間、ポプラ社ロジスティックスの皆さま、お取引先の皆さまに感謝!この御縁は、ヒットでお返しできるように精進いたします!もちろん、NO品切れで!
写真は、恩師伊藤さんとお世話になった本を持ってパチリ!XP祭りは良い感じのゆるさで、その中にいることも含めて楽しい時間でした。ありがとうございました!